こんにちは、塾運営コンサルタントのHayatoです。私はこれまで、現場の感覚ではなくPL・LTV・CPA・問い合わせデータを一つの仕組みに統合し、数値をもとに数多くの塾運営をV字回復させてきました。
毎日教室に顔を出して満足している暇があるなら、今すぐ自塾のPLを見直せ。売上が上がっても手元に現金が残らないのは、経費の切り分けすらできない「どんぶり勘定」のせいだ。税理士に丸投げし、月末に口座の残高だけを見て経営している気になっているなら、その塾に未来はない。
この記事を読めば、学習塾における適正な平均粗利率と、個別指導塾の利益率を最大化するための正しいPL管理の型が分かり、明日からの経営判断の精度が上がります。
個別指導塾の利益率を決める「売上原価」と「販管費」の正しい切り分け方
学習塾の経営において、最も見落とされがちなのが「売上原価」と「販管費」の明確な切り分けだ。ここの線引きが曖昧なPLは、ただの数字の羅列であり、経営判断の役には立たない。
※PL(損益計算書):企業の一定期間の収益と費用をまとめ、最終的な利益(または損失)を示す成績表のこと。
まずは、どの経費がどちらに属するのか、以下の表で完全に頭に叩き込め。
| 勘定科目・経費内容 | 分類 | 理由・経営上の位置づけ |
| フランチャイズロイヤリティ | 売上原価 | 生徒数(売上)の増減に完全に比例して変動するため |
| 講師人件費(授業給・特訓給) | 売上原価 | 指導セッションの回数、生徒数に連動して発生するため |
| 外部委託講師費(オンライン等) | 売上原価 | 直接的な指導サービス提供にかかる変動費であるため |
| 教室の紙代・インク代 | 売上原価 | テキストや指導ログの印刷など、生徒数に比例するため |
| 事務員人件費(事務給) | 販管費 | 生徒数に関わらず、教室開校のために固定で発生するため |
| 正社員人件費(基本給) | 販管費 | 生徒の増減に関わらず、固定で支払う必要があるため |
| 教室の家賃・共益費 | 販管費 | 売上に関係なく毎月一定額が発生する固定費であるため |
ロイヤリティと講師人件費は「売上原価」に計上しろ
経費を分類する絶対的なルールを教えよう。「生徒数が増えるにあたって、比例関係で増えていくもの」はすべて売上原価だ。
例えば、フランチャイズ展開している場合のロイヤリティ(仮に売上の10%とする)。これは生徒が増えれば金額も上がるため、販管費ではなく売上原価に計上すべきだ。
また、対面指導を行う講師の人件費も同じだ。生徒数が増えれば指導セッションの枠が増え、それに連動して講師の給与支払いも増える。したがって、これも売上原価に分類する。
さらに細かく言えば、自社で採用した内部講師の人件費と、外部のオンライン指導サービス等を利用した外部委託講師の費用も、勘定科目を分けて管理しろ。これらは税務上の処理(消費税の課税・非課税など)が異なる場合があり、ごちゃ混ぜにすると正確な原価率が見えなくなる。ここを分けるのがプロの仕組み化だ。
事務員の人件費と固定費は「販管費」へ分離しろ
一方で、事務員の人件費はどうだ。生徒が増えようが減ろうが、教室を開けている以上、事務員は決まった時間まで滞在する。
※販管費(販売費及び一般管理費):売上に直接連動しないが、会社を運営し、サービスを販売するために固定でかかる経費(家賃、事務給など)。
これは生徒数に直接連動しない固定費だ。したがって、売上原価ではなく販管費に入れろ。
多くの塾経営者が、講師給と事務給を「人件費」として一括りにしてしまう。これでは、指導という直接的なサービス提供にどれだけのコストがかかっているのか、本質的な粗利が見えなくなる。
また、教室で生徒が使うプリントの紙代やインク代も、生徒数に比例して膨らむため、厳密には原価として捉えるべきだ。細かい数字の積み重ねが、経営の防衛線を強固にする。
学習塾の平均粗利率70%を死守するためのPL管理モデル
原価と販管費を正しく切り分けた上で、目指すべきリアルな数値目標を提示する。
粗利率74〜75%を達成するためのリアルな数値モデル
一般的な個別指導塾のビジネスモデルにおいて、適正な粗利率のラインはどこか。現場の数値を徹底的に集計した結果、70%〜75%が妥当なラインだ。
※粗利率(売上総利益率):売上から売上原価を引いた利益(粗利)の割合。この数値が高いほど、家賃や広告費などの固定費を吸収する体力が残る。
もし、自塾の粗利率が70%を下回っているなら赤信号だ。ロイヤリティ、講師の配置効率、教材費など、原価のどこかに無駄が生じている。粗利が確保できなければ、この後に引かれる販管費(家賃や広告費)に耐えられず、最終的な利益は吹き飛ぶ。
俺が関わる個別指導塾のリアルな数値モデルを出す。
- ARPU(月次客単価):約83,000円
- 平均在籍期間:10.5ヶ月
- LTV(顧客生涯価値):約87万円
この高い客単価を維持しながら、講師のコマ効率を最大化し、無駄な変動費を削る。これで初めて粗利率74%という強固な数字が生まれるのだ。
営業利益を残すための広告費と採用費の完全分離
粗利から販管費を引いたものが、本業の儲けである営業利益だ。
※営業利益:粗利から販管費(広告宣伝費、人件費、家賃など)を差し引いた、企業が本業で稼ぎ出したリアルな利益。学習塾においては、これがほぼ経常利益とイコールになることが多い。
ここで絶対にやるべきなのが、「生徒集客のための広告費」と「求人採用のための広告費」を勘定科目として明確に分けることだ。
例えば、生徒募集のリスティング広告費やWEB広告費が年間120万円かかっているとする。一方で、正社員を採用するためにエージェント(年収の約15%など)を利用したり、求人媒体に出稿したりする採用費がある。これらを「広告費」として合算してしまうと、生徒獲得のCPA(顧客獲得単価)も、採用単価も両方ともブラックボックス化する。
さらに、正社員を雇用すれば給与の約15%程度の「法定福利費(社会保険料など)」が必ずのしかかる。正社員人件費率の上限は売上の最大20%に設定し、これらの隠れた販管費をすべて正確にPLに落とし込め。最終的に1,000万円以上の営業利益が確実に残るモデルを設計しろ。それが経営だ。
まとめ:明日からやるべきTODO
感覚での経営を捨て、利益を確実に残すために、明日から以下のチェックリストを実行しろ。
- 過去数年間の売上と経費のデータをスプレッドシートに入力し、独自のPL表を構築する。
- 生徒数に連動して変動する経費(ロイヤリティ、講師給、紙・インク代等)を「売上原価」に分類する。
- 生徒数に依存しない固定費(事務給、家賃等)を「販管費」に明確に切り分ける。
- 生徒集客のための「広告宣伝費」と、スタッフ採用のための「求人広告費」の科目を完全に分離する。
- 自塾の粗利率を計算し、70%〜75%の適正水準に収まっているかを確認する。
- 正社員の人件費には、給与だけでなく約15%の法定福利費を含めて経費計算を行う。
Hayatoとしての結論
俺なら、毎月の粗利率が70%を下回った瞬間、すべての経費支出を凍結して原因を特定する。
綺麗事ではなく、現場の数字と型で経営を変えたいなら、一度相談してほしい。感覚ではなく、再現性のある経営判断の型を直接お伝えする。

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