銀行は、あなたの「教育への熱意」には1円も融資しない。
彼らが見ているのは、冷酷なまでに整えられた数字と会計のロジックだけだ。資金繰りに窮してから慌てて数字を作るようでは、経営者として三流である。
こんにちは、塾運営コンサルタントのHayatoです。私はこれまで、現場の感覚ではなくPL・LTV・CPA・問い合わせデータを一つの仕組みに統合し、数値をもとに数多くの塾運営をV字回復させてきました。
この記事を読めば、学習塾が多店舗展開の資金調達を行うための裏側や、融資を引き出すための会計指標の本質が分かり、明日からの経営判断の精度が上がります。
銀行融資を引き出すためのPL(損益計算書)の真実
新規開校や教室拡張を企てるなら、銀行からの資金調達は避けて通れない。
その際、自塾のPL(損益計算書)が銀行員からどう見られているか、完全に理解しているか。
単月赤字を回避する「減価償却」のルール
例えば、新校舎の立ち上げやシステム導入で、2月に500万円の設備投資をしたとする。
これをその月の「費用」として全額計上すればどうなるか。
生徒80名・客単価4万円で、月間売上が320万円あったとしても、一発で大幅な単月赤字に転落する。
翌月に銀行へ融資の相談に行っても、PLに巨大な赤字が刻まれていれば、門前払いされるのは当然だ。
ここで不可欠なのが減価償却という概念だ。
500万円の支出を、例えば「5年(60ヶ月)」に分割して費用計上する。
そうすれば、単月の費用負担は約8万円に平準化される。
手元の現金は500万円減っているが、会計上のPLは黒字を維持できる。
銀行から融資を引き出すためには、この「見せ方」のコントロールが絶対条件となる。
投資家と銀行で異なる「利益」の評価基準
経営を拡大していく過程で、あなたは「銀行」だけでなく「投資家」や「事業買収者」の視点も持つことになる。
パッと見の難易度が高い会計指標だが、以下の表にまとめた通り、誰がどの数字を見ているかは明確に分かれている。
| 指標 | 計算のベース | 誰が最も重視するか(視点) |
| 営業利益 | 本業のみの利益 | 銀行(着実な返済能力があるか) |
| EBITDA | 営業利益 + 減価償却費 | 投資家/M&A買収者(キャッシュを生む力) |
| 経常利益 | 本業 + 営業外収益(副業等) | 経営者(会社全体のリアルな体力) |
銀行が最も重視するのは営業利益だ。減価償却費などのコストを全て差し引いた上で、着実に返済能力があるかを見るからだ。一方で、投資家が重視するのはキャッシュを生み出す力を示すEBITDA(イービッタ)である。
EBITDAを意図的に黒字化する会計マジックの罠
ある通信キャリアが、巨額の赤字を出しながらも「EBITDAは黒字だ」と主張したケースがある。
本来なら「販管費」や「売上原価」に入れるべき人件費などを、先行投資と称して「減価償却費」に計上したのだ。
減価償却費が増えれば、それを足し戻すEBITDAは意図的に黒字化できる。
こうした会計上のマジックを見抜けるかどうかも、経営者としてのリテラシーが問われる部分だ。
多店舗展開の資金調達を左右する「経常利益」と事業構造
経営状態を俯瞰する上で、最終的に最も重要な指標が経常利益だ。
本業と副業(営業外収益)の残酷なバランス
経常利益とは、本業の「営業利益」に、本業以外の「営業外収益・費用」を加味したものだ。
例えば、塾の空きスペースを貸し出して得た家賃収入や、金融商品の運用益などがこれに当たる。
ここで意地悪な質問をする。
「営業利益が1000万円、経常利益が5000万円の企業は、健全か?」
答えは「状況による」だ。
経常利益が跳ね上がっているということは、本業(塾運営)以外の「副業(営業外収益)」で稼いでいる状態だ。
これが別事業の家賃収入のような「安定的で再現性のある収益」なら問題ない。
しかし、もしこれが「たまたま相場が良かっただけの金融商品の運用益」や「今年度しか出ない特例の助成金・補助金」で膨れ上がっていたとしたらどうだ。
来年からはその収益がゼロになる可能性が高い。
本業の稼ぐ力(営業利益)が低いまま、見せかけの経常利益の数字だけで安心していると、数年後には確実に会社が傾く。
一時の副産物に目を奪われず、本業である教育ビジネスの営業利益率30%という基準を、何があっても死守せよ。
まとめ:明日からやるべきTODO
数字のトリックに踊らされず、多店舗展開に向けた強い財務基盤を作る覚悟があるなら、明日から以下を徹底しろ。
- 自塾のPLの「営業利益」と「経常利益」の差額要因を特定する
- 設備投資の履歴を確認し、適切な減価償却が行われているか経理と確認する
- 銀行融資を見据え、直近数ヶ月の単月赤字リスクを事前に排除する
- 自塾の「EBITDA」を算出し、本来のキャッシュを稼ぐ力を把握する
- 単発の売上(営業外収益)に頼らず、月謝・講習ベースの安定収益モデルを構築する
Hayatoとしての結論
俺なら、目先の利益を大きく見せる会計トリックには頼らず、本業の営業利益率を極限まで磨き上げる。
綺麗事ではなく、現場の数字と型で経営を変えたいなら、一度相談してください。感覚ではなく、再現性のある経営判断の型を直接お伝えします。

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